映画「サマーウォーズ」を観ました。観る人が観ればわかる、長野県上田市を舞台にしたひと夏の物語。去年の夏、上田高校出身の父に連れられて映画館で観てきた小3の息子が「面白いからパパも観てごらん」と言うのでレンタルしてきたのでした。結構マイナー系の映画だと思っていたら、実はオリコン3月15日付ブルーレイ&DVDランキングでともに初登場総合1位を記録、ブルーレイではこれまでのアニメブルーレイ作品の売上記録を上回り、歴代1位を獲得したとのこと。
ストーリーは、片田舎の旧家に集った大家族が力を合わせて核戦争の脅威から世界を救うという、突拍子もないもの。インターネットを介した仮想空間上で繰り広げられる出来事が現実社会を支えている各種システムにも影響を与えてしまうという構図はただのフィクションに思えますが、これだけネットが浸透しシステム間が相互接続されてきた今、あながちあり得ない話とも言えません。
一般の人々にとってはコンピューターシステムと言われてもまだピンと来ないでしょうが、電気、ガス、水道のようにコンピュータシステムは今や日常生活を支えるインフラの1つ。悪意をもった人間が外部からアクセスしたり、潜在バグが顕在化したりしたときに、思わぬところで実生活に被害が出ることもあります。こうしたインフラを設計し、構築し、運用している側の僕としては妙なリアリティを感じてしまいました。
ところで、そういえばどこかで見覚えのある筋書きだなぁと思っていたら、
小6の時に観た「ウォーゲーム」でした。主人公の高校生がPCからコンピュータにハッキングする、軍の人工知能が人間の意志とは反した動きで核戦争を始めようとする、それを「ゲーム」で解決しようとする等、基本的な展開がまるで一緒。いま思えば30年近く前に作られたにしては先見の明がある映画だったと思いますし、当時の小学生だった僕が受けた影響は大きかったのかもしれません。
・・・なんて難しいことは考えなくとも、テンポ良く展開するストーリーと精緻に描かれた仮想世界に惹きこまれてしまいます。日本ならではの伝統の夏風情、懐かしい田舎の風景や大家族を背景にして、それとは全く異質なネット上のハイテク空間で繰り広げられる人間と人工知能との戦い。一見アンマッチな組み合わせなのですが、これが不思議と相まって独特の世界観をつくりあげています。夏といえば!の山下達郎の主題歌もいい感じ。古き良き日本の原風景とケータイを中心に世界をリードする日本のデジタルコンテンツをアニメで描いたユニークな本作、願わくばぜひ英語版をつくって海外の人たちにも観てもらいたいと思います。
●今は何位かな?