AMRの指導教授との定例ミーティング後、台湾人のGと一緒にランチしながら卒業後の身の振り方について話しました。彼は、台湾No.1の大学を出てからアメリカの有名大学院でエンジニアリングのマスターを取得し、シリコンバレーでハードウェアエンジニアとして働いていたという、ばりばりのエンジニアリングバックグラウンドを持っています。
彼はつい先日、僕がサマーインターンをした某戦略コンサルの台湾オフィスからオファーをもらったものの、まだ決めかねて他の就職先も探しています。
誰もが羨むオファーなのになぜ?と思いますが、話を聞くとなるほど彼にとってはいろいろな選択肢があるようです。
そもそも、彼がMBAを目指したのはいわゆる
エンジニアキャリアパスではなく
ジェネラルマネジメントのキャリアパスを進みたいと思ったから。驚くことに、シリコンバレーではエンジニアとジェネラルマネジメントのキャリアパスはどちらを進んでも相応の処遇があるそうです。
何が驚きかというと、日本では例えばSEの場合、スーパーSEとして技術的な専門性を極めていくというキャリアパスはまずなく、一般的なSEのキャリアパスとしては社内で昇進するにつれて技術者という側面は薄れ、むしろ部下を配下に持って管理するという管理職的な仕事にならざるを得ないのが実情です。こうしたケースでは、管理職には興味がないが高い技能を持つSEを惹きつけるだけの処遇をいかにして整備するかが重要な課題になります。ところが、アメリカではSEならSEとして専門性を極めながら、部下の管理をすることなく
純粋な「高度技術者」としてジェネラルマネージャー同様に社内で昇進・給与アップしてゆけるキャリアパスがきちんと存在しているそうです。
しかし、現実的には外国人がジェネラルマネジメントのキャリアを極めようとすると、社交的な仕事が増えていくためネイティブなアメリカ人でないと言葉や文化の問題でハンディキャップがあるのも事実。会社側としても、同じ能力のアメリカ人と非アメリカ人の2人を前にしたら前者を昇進させるのが普通ということ。確かにそうかもしれません。
一方で、エンジニアリングキャリアパスの場合は、言語や文化の問題が少ないため、多くは中国人・インド人で占められているそうです。実際に大きなソフトウェア会社等では、本社スタッフが入っているビルはほとんどアメリカ人、SE達が入っている周りのビルはアジア人が中心、といった光景がよく見られるそうです。
アンダーソンに来る前は、成功した上級エンジニアとして戦略コンサルと同等のサラリーを保証されていた彼としては、MBAを取った以上は(できればアメリカの)一般的な事業会社のマネージャーとして働きたいという思いが強いようです。もちろん、そのステップとして
2-3年ほどコンサルで修行して論理的思考スキル+人脈+箔をつけるというパスもあるでしょう。
彼は他にも以前勤務していたベンチャーキャピタルの人脈から誘われたりしているそうで、贅沢な悩みです。多くのインターナショナル学生はアメリカで就職しようとするとなかなか苦労している様子。もちろん、出身国に帰るなり、米国内でも勤務地(多くは西海岸を希望)やサラリー等で妥協すればあるのですが、前職より確実にキャリアアップしようとするとなかなか難しいのでしょう。
日米のエンジニアのキャリアパスの違いについて考えさせられました。