日本語では何と呼ばれているのでしょうか。名前は知りませんが、誰もが見たことのある図です。
例えば、上図はダンキンドーナツに関するマーケティングプロジェクトをやった際に作成した
Perceptual mapです。縦軸は「早くて安い←→雰囲気重視で高い」という価値を示し、横軸は「コーヒー特化型←→食事を提供する店」を示します。
この2つの軸で自分のブランドと競合ブランドを位置づけることで視覚的にポジショニングを理解し、競合の少ない新規マーケットを見出したり、自社のブランドのポジショニングの再定義に活用したりします。
昨日のマーケティングリサーチの授業ではこのPerceptual mapを取り扱いましたが、
目から鱗でした。というのも、今までは「えいやっ」と感覚で各ブランドを配置し、何となくそれらしいPerceptual mapを作成していましたが、実はもっと科学的なPerceptual map作成の仕方があったのでした。
Perceptual mapを作成する方法としては、大きく2つあります。
(1) Overall similarity approach
(2) Attribute ratings approach
ここでは、前者について簡単に説明しましょう。まずはじめに、比較したい対象(この例では9つのビジネススクール)についてペアをつくり、各々のペアについてどれくらい似ているか?を採点します(この例では0点が最も似ている、10点が最も似ていない)。この例では、36 (= 9 x 8 / 2) の組み合わせがあります。
次に、乱数を用いて9つの学校をx,y軸上にランダムにプロットします。その上で、各学校間の距離を求めます。そして、この乱数に基づく学校間の距離を説明変数とし、実際に先に採点した学校間の類似度(0-10点)を被説明変数とした一次回帰式を作成し、回帰分析をします。当然、その結果は「統計学的に説明力なし」(重相関係数R2=0.03478)となります。
そこで、コンピュータプログラムを用いて、9つの学校のポジション(x,y)をずらしながら、この回帰式の重相関係数が最も高くなるようなポジションを見つけ出します。Bonapati教授が自ら作成したプログラムを使うと、一瞬のうちにこの試行を500回繰り返した結果の値(各校のx,yの値)が算出されます(この例では、重相関係数R2=0.9951)。
そして、このx,y値に基づいて各校をプロットします。
最後に、(ここが最も恣意的かつ重要)このプロット結果をみて、原点を中心に回転させたりしながら、最も納得がいく説明が出来るx,y軸を見出します。
この例では、時計回りに150度くらい回転させた上で、横軸に「ケース重視←→理論重視」、縦軸に「学校のプレステージ」という解釈を見出しました。
つまり、各人の主観に基づいた非常に単純な入力をもとに、統計的に各サンプルの類似度を算出したうえで、この類似性に基づいて2つの軸を用いてこれらのサンプルをプロットするわけです。この手法を用いることで漠然と感じていた類似性をベースとして、統計学の力を借りながらPerceptual mapを作成できます。最後の軸を見出す課程で、今まで自分でも気づかなかった新たな発見があるかもしれません。
このクラスでは、こうした
統計学の知識をマーケティングに応用する方法について色々と学びました。今までは「マーケティングなんて超qualitativeなもの」と思っていましたが、統計学をうまく応用することで少しでも客観性を持たせることができることがわかりました。