最近、色々な意味で何事もバランス感覚が大事だなと思うことがよくあります。留学中は、
キャリアと家庭とのバランスについて考える機会が多かったのですが、これは引続きリタイアするまでの大きなテーマでしょう。帰国してからはや一年近く経とうとしていますが、仕事をしている時はしている時で「仕事の仕方」のバランスをどう取っていくか?を考えることが多いです。
例えば、最も単純なバランス感覚としては、今抱えている複数案件を効率良くパラレルで進めていくための時間配分。あるいは、今所属している部署のミッション(本業)と全社的な視点から取り組むべき課題(
社内SNS推進活動等)とのバランス。そして、最近、特に意識しているのが右脳と左脳のバランスです。
自由競争をベースとした資本主義の論理が広く行き渡っている現代では、論理性が非常に問われる社会であり、左脳的な発想:ロジカルシンキングが幅を利かせています。それに加えて、資本主義社会における知恵の集大成とも言える経営学を資本主義で成功したアメリカで学び、マッキンゼーのインターンシップでは
徹底したファクトとロジックの積み上げをベースとするロジカルシンキングの訓練を受け、また1か0かのデジタルを集積してシステムを作り上げるIT業界に身を置いている僕としては、相当に意識して右脳を鍛えない限り、知らずのうちに左脳偏重的な発想に陥りがちです。
そんな意識は常に持ち続けているつもりでしたが、たまたま「
ウェブ進化論」と「
国家の品格」を立て続けに読んでみて改めて「右脳をもっと鍛えなければ!」という思いを深くしました。2冊ともそれぞれの軸で「今」を鋭く分析した上で将来に向けての考察や問題提起をしている点は共通していますが、「ウェブ進化論」は極めて左脳的なテーマを扱っているのに対し、「国家の品格」は右脳的な価値観の重要性について論じているという意味で両極に位置していると思います。
とかく仕事をしている時間が長いとついつい論理が先行しがちですが、日常生活はもちろん仕事をしている局面においても右脳的なもの、例えば他者の感情面への配慮であったり、直感的な判断やひらめき、創造的なデザインといったものが実は非常に重要であり、左脳的なロジカルシンキングというのは単なる1つのスキルに過ぎません。
進学先や就職先の決定、結婚、MBA留学を目指すという覚悟、
留学先の決定、帰国後に今の会社に帰るという決定等、今までの人生における様々な重要局面を振り返ってみても、結局は論理だけではとても説明し切れない感情や直感、人情といった右脳的な要素に基づいて決断してきました。
こうした「人生の岐路」における選択においては、悩めば悩むほど自分でも何だかよく分からなくなってしまうものです。そんな時ほど、僕は「
最後は自分の直感を信じる」ことにしています。どんなに難しい選択であっても、ずっと真剣に考え続けているといつか必ず
「理由を問われても言葉ではよく説明できないんだけど答えがひらめいた」瞬間が訪れます。
今までの実務修行を通じて左脳的なスキルはもう十分身につけることができたので、今後は更に意識して右脳的な要素を育んでいけるよう精進していきたいと思います。
※写真は、南仏のエズ村から見た山頂のカフェとニースの海岸線(2004年夏)