前回、幻冬舎の見城さんの本を紹介しました。あのエントリを書きながら、そう言えば…と思って本棚を見返してみると、我が家にも幻冬舎の本、ちゃんとありました。しかも、3冊とも妻の蔵書。うち1冊が文庫本だったので、これから読んでみることに。
「大河の一滴」五木寛之(幻冬舎文庫)です。
実は火曜日の午後から急に体調が悪くなり、早退して内科で検温したら39.5度。検査の結果、やはり、というか残念ながらインフルエンザでした。結局、それから三日三晩、ほとんど寝たきり。少しずつ回復してきたところでベッドの上で読み始めたのでした。
例えば、
梅田さんの語るような将来に対する楽観論は一切なく、むしろ相当に絶望的なところから今の世の中を見ることからスタートすることでちょっとした人の善意に触れたときに奇跡のように感動できる、といった筆者独特の人生観が全編を貫いています。そんな中で、ポジティブシンキングも大事だけれど、人間は時として負の感情も持つのも自然な姿であり、これを抑圧するのではなく、ときには徹底的に表出させることも人間の心身にとって非常に重要だと説きます。
たとえば、足もとに目を落としたとき、そこにくっきりした濃い黒い影がのびていれば、自分が背後から強い光に照らされているということに気がつくでしょう。上を見ることだけが光を探す手段ではないのです。同じように、胸を張って遠くを見ることだけが希望を見つけることではない。悲しいときやつらいときには、うなだれて肩を落とす。深いため息をつく。そうすることによって、自分を照らす希望の光の存在を、影が教えてくれるということもまた、ありうるのではないでしょうか。
p.284
この一節を読んだとき、少し心が軽くなった気がしました。
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