UCLA Anderson School of ManagementのMBAの特色のひとつに、AMR(Applied Management Research program)と呼ばれるフィールドスタディがあります。これはMBA学生数人でチームを作り、2年生の秋・冬学期にまたがって1つの企業を選んでコンサルティングを行うというもの。こうした科目を必修科目にしているのは、Andersonが机上で学んだ知識を実社会で実践することに重きを置いている現れでしょう。
僕のチームは全員がSoftware/Hardware engineer系のキャリア経験者で、僕以外は全員理系の学卒あるいは修士という、Technologyに強いのが特徴。その一方で、多様性にも富んでいるところが売りなのです。
国籍は、日本人(僕)、アメリカ人、中国人、台湾人、インド人と国際色豊か。しかも、個々人の得意分野もまんべんなく多岐に亘っています。Jeanはフィディリティでe-businessのマーケティング、DerekはITコンサル会社を起業、
Gilbertは半導体設計エンジニアの傍らでヘッジファンド・VCでアナリスト、Prashantはオペレーションのスペシャリスト、そしてKenyaは戦略思考のエキスパート、といった具合。
AMRではほとんどのチームがManagement Field Studyと呼ばれる、いわゆる企業に対してコンサルを行うプロジェクトを選択するのですが、他にもBusiness Creation(自分のビジネスプランを実践する)とSpecial Project(教授とともに特定トピックについて掘り下げて研究する)という2つのオプションがあります。我がチームは検討の結果、オペレーションの権威である
Prof. KarmarkarとRFID(Radio Frequency IDentification)について研究するSpecial Projectを選択しました。
RFIDとは日本では主に
「ICタグ」の名称で呼ばれている技術のことです。アンテナ付の小さなチップをヒトやモノにつけることで電波を使って個体識別を可能にする・・・と書くと何だかわかりにくいですね。わかりやすい例を挙げれば、スキー場でリフトに乗る際にかざすリフト券やJRで使うSUICAなんかもRFIDの一例です。他にも、アパレル店舗ではバーコードの代わりにRFIDタグをつけることでより簡単・確実に在庫管理ができるとか、図書館で蔵書にRFIDタグをつけることで盗難防止や貸出業務の効率化を図る、などといったアプリケーションが実現されています。
以下の写真は日立が開発した世界最小のRFIDタグ(ミューチップ)です。0.4ミリ角のチップにアンテナも内蔵し電池不要で128ビットROMを保有する優れものです。ここまで小さいと紙に漉きこむことも可能となり、応用の可能性が広がるでしょう。
日本にいる頃からRFIDには個人的に大きな可能性を感じていたため、今回のAMRのチャンスを使って「いかにビジネス化できるか?」について考えたいと思い、チームに提案して採用されました。そんな経緯もあって実質リーダーとなってチームを引っ張っています。また、僕がいま勤めている会社は日本における当該技術のリーディングカンパニーでもあるため、今回のプロジェクトを機に帰国後はRFID関連の仕事をするのも面白いかもしれないと思っています。