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先日読んだ「かけがえのない人間」に続いて、上田紀行さんの「生きる意味」(岩波新書)を読みました。相変わらずロジカルだけど熱い!上田さんは、まず今までの日本社会は右肩上がりの経済成長のなか、「経済成長教」とも言える数字信仰に囚われてきたことを指摘します。 「自分が何を欲しているのか」よりも「他の人が何を欲しがっているのか」を自動的に考えてしまうような「欲求」のシステムを私たちはずっと生きてきた。しかし、それは実にはひとりひとりにとっては楽な社会でもあったと言える。なぜならそのような社会では「自分の頭」や「自分の感性」をほとんど使わなくてもいいからだ。いま社会で求められていそうな線を狙って生きていけばいい。私の「生きる意味」など突き詰める必要はなかったのである。(p.16) しかし、その経済成長にも陰りがみえ始め、同時に「グローバルスタンダード」な社会に向けて「構造改革」が叫ばれ出す頃には、このシステムは破綻してしまいます。 父親の人生の目標は昇進、子どもはいい成績を取ること、母親はその子どもの尻を叩くこと、といった「分かりやすい」目標の中で家族の「内的成長」は停止し、コミュニケーションは形骸化し、家族はバラバラになっていった。そして家族の構造が弱体化したところに、不況が襲い、リストラが襲ってくる。(p.199) 多くの人が今まで何となく信じ込んできた価値観、たくさん勉強して少しでも偏差値の高い大学に入り、誰もが知っている大企業に就職すること、そして家族のためと信じて心身を削って会社に尽くしてきたこと・・・が、今や何も自分の将来を約束してくれるものではない時代になってしまっています。いま大事なことは、自分なりの「生きる意味」を探求すること、そのためには他人とは交換不可能な「かけがえのなさ」を取り戻すことだと上田さんは説きます。 人生の満足度の高い人、それは「一点豪華主義」で生きている人である。この嫁さんと一緒にいさえすればぜったい満足だという人は強い。(中略)自分の「生きる意味」を生きている人の世界には「濃淡」がある。世界のどこが自分としては譲れない「濃い」部分で、どこがあまり自分には問題にならない「淡い」部分なのかの地図ができている。(p.139) 振り返ると、僕自身もあまり深く考えることのないまま勉強してそこそこ偏差値の高い大学に進学しましたが、就職を控えた大学3年生の頃に大きな転機がありました。バブル崩壊後の氷河期のなか、幸いにして当時の花形であった都市銀行や保険会社等から幾つか内定をもらうことができましたが、どうにも仕事のイメージが沸かず進路決定に際してモヤモヤしていました。一方で、まだWindows95が発売される前、インターネットも商用化されていない頃でしたが、父の仕事柄、子どもの頃から慣れ親しんでいたコンピュータが世の中をもっと良くしていく可能性について思いを馳せるとワクワクしたものです。 結局、文系なのにSE(システムエンジニア)という職業に興味を持ち、まだ未上場だったIT企業に就職することにしました。周りからは不思議に思われた選択でしたが僕の中ではスッキリしたものでした。あの時、いわゆる世間体や給料といった「他の人が何を欲しがっているのか」という軸で「オートマチックな選択」をしていたら、もしかしたら自分の仕事に面白みを見出せないまま今頃は金融危機に翻弄されていたかもしれません。 世界と「愛」でつながること。それは学問だけではない。自分の時間を「犠牲」にして、障害を持った人と関わるボランティア活動に打ち込んでいる人もいた。しかしその時間は「犠牲」どころか、そのときこそ彼女は光り輝いていた。(中略)世界とは効率性の追求のためにあるのではない。自分が何を愛するのか、世界の何と「愛」でつながることができるのか、そのことを見出さなければぼくはこれから生きていくことはできないんだ。それが、ノイローゼ状態となりカウンセリングに通い始めた私にようやく訪れた、ひとつの啓示であった。(p.142) このブログでも何度か紹介しているスティーブ・ジョブズの言葉がここでもリフレインします。 The only way to be truly satisfied is to do what you believe is great work. And the only way to do great work is to love what you do. そして、がむしゃらに好きな仕事に没頭した20代を終えて30代に乗せた頃、長男が生まれ、ライフスタイルに大きな変化が訪れてワークライフバランスに悩みました。ここで、もうひとつ大きな転機となったのがUCLAへのMBA留学でした。特に最初の秋学期は要領がつかめずに毎晩深夜まで予習に追われて大変でしたが、会社生活に比べればずっと恵まれていると思い、どんなに忙しくとも毎日6時にはいったん帰宅すると決めて、妻と息子と一緒に夕食をとること、息子とお風呂に入ることを目標にして実践しました。 この2年間で得られたものはあまりに多く、文字では表現し尽くせませんが、最も大きな気づきの1つは、「家族>仕事」という優先順位です。ワークライフバランスというと、1つのパイをワークとライフとで取り合うような印象がありますが、僕は家族が元気で幸せな状態にあるからこそ仕事も全力で取り組むことができ、その結果として仕事での成果がついてくる、と考えています。僕にとっての重要な気づきは、仕事と家庭のバランスや相関関係ということではなく、家庭あっての仕事であり、その因果関係の矢印の向きでした。かけがえのない貴重な時間をLAで過ごすなか、2年間かけて自分の中でこの優先順位を左脳での理解から右脳での気づきレベルに深化できたことが、帰国してからの仕事において辛いときでも踏ん張れる原動力になっています。 自分自身を、そして社会の構造を効率化し、経済化すればするほど強い人間になり強い社会になるというのは全くの誤りだ。それは一見強そうでいて、実は極めて脆弱な人間と社会を作り出す。そうではなく、この非情な市場社会の中に、「生きる意味」を求め育むような中間社会のコミュニティーをいかに埋め込んでいけるのか、違和感や葛藤や弱さを引き受け、内的成長をもたらしていくような信頼関係とコミュニケーションの輪をいかに成立させていけるのかが、真に強く豊かな社会への試金石なのである。(p.181) この本が書かれた2005年1月はまだグローバル経済至上主義が世界で絶好調でしたが、リーマンショックを経た今、経営の世界でも上田さんが指摘するようなパラダイムシフトが起こり始めているように感じます。以前に紹介した「経営の未来 The Future of Management」の中でゲイリー・ハメルは次のように述べています。 「あなたのこれまでの人生で、仕事が最も楽しく感じられ、最も生き生きと仕事に取り組めたのはいつだろうか。・・・その経験の具体的な中身が何であれ、そこには共通の目的に身を捧げていることで結ばれた人びと、資源が足りないからといって諦めたり、専門知識がないからといってやる気をなくしたりはしない人びと、手柄がどのように配分されるかではなく一緒に何を達成できるかを気にかけている人びとがいたにちがいない。要するにあなたはコミュニティの一員だったのである。」 3年ほど前、ある新聞記者との取材で話したことが記事に残っています。 『竹倉さんは語る。「IT化を進める企業にいるからこそ思う。ネットは人をぎすぎすさせるのではなく、生活を豊かにするものであってほしい」(毎日新聞、2007年1月4日)』 いまITに求められていることは、ビジネスや社会をより賢く効率化すること(Smarter Planet)なのでしょうか? 僕がいま取り組んでいる社内SNSという仕組みは、組織ではなく、個人と個人とが組織を超えて結びついて助け合うためのプラットフォームです。あくまで重要なのは対面でのリアルなコミュニケーションであることは前提として、効率化の果てに失われつつあるコミュニケーションやコミュニティを会社の中に取り戻していくきっかけとして社内SNSの持つ可能性はもっと大きいと信じています。 社会の中に「信頼できるもの」、「私をぜったいに見捨てることのないもの」をどれだけ持つことができるか、そのことが私たちの「内的成長」を深く支える基盤になる。現在の日本が目指している、「何の支えもないところで自由に競争しなさい、それが自由な社会なのです」ではこの世は地獄だ。支えがあればこそ、私たちは人生にチャレンジをすることができる。世界に信頼があるからこそ人生が自由になるのである。(p.200) とある経営コンサルティング会社のパートナーと話していたとき、クライアントに対してはナレッジマネジメントの重要性について説いているものの、同社ではひとりひとりが個人事業主のような位置づけであり互いにライバルであるため、社内の情報共有が全く進んでいないと嘆いていました。これで持続可能な経営ができるのでしょうか。会社も、そして家庭も社会も、その基盤には人と人との信頼関係がなくてはならない、そのためにいま自分でやるべきことを考えて1つ1つ積み重ねていきたいと思います。
by takekurakenya
| 2009-10-11 17:32
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