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経営共創基盤で冨山さんの近くで働いていたという友人に勧められて、冨山和彦さんの「カイシャ維新」(朝日新聞出版)を読みました。 今までも彼の著書は何冊か読みましたが、本書は今までの本とはちょっと趣が異なっており、特に前半はビジネススクールの教科書を読んでいる感じ。今まで常識として語られてきたガバナンス論の命題に対して、1つひとつファクトとロジックで反証し、必ずしもそうならないケースを丁寧に解説しています。 例えば、「株主価値が増えれば、企業価値は増える」といった 一見正しそうに見える主張に対しても、借り入れの資本コストが負債比率に敏感に反応するケースを図解で示したり。
後半は、基本的な主張は今までの著書で語られてきた考え方を踏襲しながら、いよいよ冨山節が炸裂といった感じで、「株主至上主義でも、日本的ムラ社会でもない新しい会社のあり方」について様々な実例をベースに論じられます。時に机上の理論どおりには行動しない生身の人間の集合体である企業というものをいかにしてマネージし、全体の価値を高めていくか。その1つのキードライバとして、「会社は頭から腐る」でも繰り返し述べられていた、社内のインセンティブのデザインについて、本書でも言及されています。 どこまで行っても不完全、不均衡な市場を前に、どんなルールデザインや市場介入をすれば、そこに関わる現実の人間たちが的確な努力をし、公立性の向上や、イノベーションを促すことができるかが主要課題になっているのだ。ルールが形成するインセンティブ構造(経済、非経済的な要素を含めた整合的な報酬とペナルティー)の中身と程度が、対象となる人々の現実の動機付け、価値観に持続的に訴求するためには、どうしたらいいか。抽象的な経済的動物としての人間像ではなく、リアルな実在としての人間に対する洞察力が求められている。ある意味、人間性の理解に対するデリカシーと言い換えてもいい。それがなければ、よかれと思って作った規則、正しいと思って出した判決が、思わぬ社会経済的な効果を招くことになる。(p.190) では、どうしたら「抽象的な経済的動物としての人間像ではなく、リアルな実在としての人間」として社員を捉えて、マネージしていけるのか? 残念ながら本書ではそこまで触れられていませんが、重要なことは、まず「人にはそれぞれの幸せの尺度があり、異なるwork life balanceがある」という前提に立つこと、そして一人ひとりのインセンティブ構造(優先順位)を正しく理解し、共有し、互いに尊重できる環境をつくることだと思います。 もう1つ、本書を通じて考えさせられたのは、グローバリゼーションに関する捉え方。前述のような、社内のインセンティブ構造設計も重要ですが、国家レベルで考えると、金融危機後の世界のビジネスルールをどう構築していくかといった主導権争いに日本がどう絡んでいけるかが、今後の日本の発展にも大きく作用してきます。 そもそも国として、その基準を取り入れるか否かは、当該基準の導入が、国民に長期的な福利をもたらすかどうかこそが、最も重要な判断基準になる。(中略)何でもかんでも、国際的に標準化、一律化すれば人間が幸せになれると思い込むのは、20世紀的なモダニズムの悪い癖である。(中略)大事なことは、国際的な舞台において、私たちの社会、そこから発生する企業体の強みの源泉をよく理解した上で、自分たちにより有利な制度設計を、あらゆる学問的な見識も動員して論理的に主張することと、どんな制度も必ず得をする国と損をする国があるから、そこを突いて多数派工作をすること。そして決められた国際制度も、私たちにとって不利なものであれば、できるだけ骨抜きに、先送りするしたたかさを持つことである。(p.198) オリンピックで圧倒的な強さを誇っていた日本のジャンプ勢が、スキーの長さを制限する国際ルール変更により勝てなくなったエピソードは有名です。国際会計基準や銀行のBIS規制等、一定のルールの中で競うゲームとしてビジネスを捉えた時に、欧米諸国はもっともらしい根拠を示しながら戦略的にルールを変えて勝ちにいこうとするのに対して、日本人は与えられたルールを疑うことはせずに所与の条件の中で真面目に頑張るという傾向が根底にあるように感じます。 環境問題を巡る規制や核兵器削減に向けた取り組み等、各国の利害関係が複雑に絡み合う中で、課題を解決するためには「あるべき姿」をただ唱えているだけでは現実は何も変えられません。理想に一歩ずつ近づくために長期的な視点から現実的なロードマップを描いてステークホルダー間の利害を調整すること。そして、同時に自国や自社の利益を損なわないようにバランスを取りながら全体の議論のイニシアチブを握ること。世の中がますます複雑化してきた昨今では、こうしたタフなしたたかさを意識的に備えていくことも今後のリーダーには求められると思います。 中でもトップは孤独な存在、個として自立していなければ絶対に務まらない。企業の内部がゲマインシャフト的で、そこに競争力の源泉があったとしても、トップが対峙する外の世界は、競争市場も、資本市場も、血も涙もないゲゼルシャフト(利害集団)の世界である。ムラ社会と弱肉強食社会の間に立って、両者の矛盾を正反合、アウフ・ヘーベンする立場にいるのがトップ経営者である。どちらの集団とも立場を完全には共有できない、最も孤独な仕事なのだ。それを個として自分の足で立っていない人間が担えるわけがない。(p.245) こうした主張は、河合隼雄さんが日本神話に着想を得て語っていた「今後求められるリーダー像」や、田坂広志さんが『未来を予見する「5つの法則」』で論じていた「マネジメントの本質は、「矛盾」のマネジメントである」といった主張にも重なります。知識やスキルの積み上げとは別に、様々なリアルケースに当事者として関わっていく中で育むKKD(経験・勘・度胸)といったものがベースとなって、その人なりの「哲学」が身に付いていくのでしょう。 何か困難な課題に直面したとき、課長は困ったら部長に、部長は本部長に、といった具合にエスカレーションして上司を巻き込むことができます。しかし、社長だけは振り返っても誰もいません。そういう意味で、社長と副社長の差は、副社長と新入社員の差よりもずっと大きいのかもしれません。本書は、企業再生の現場で数々の修羅場をくぐり抜けてきた冨山さんならではの地に足の着いた、経営の教科書です。 【補足】 本書で語られている教育論
by takekurakenya
| 2010-10-10 22:39
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