
今日のマーケティングリサーチのクラスでは、
Projective techniquesについて学びました。Projective techniquesとは、あえて具体的な質問をせずにより直感に近いところで被験者の潜在的な感情について探る方法の総称です。と書くと、まるで心理学の世界ですが、まさにその通り。
Projective techniquesには以下のようなものがあります。
Word association 例えばマクドナルドというブランドのイメージを知るために、次々と色々な単語(everywhere, familiar, greasy, clean等)を被験者に言って、その反応からマクドナルドと特定の単語との関連性を計る。
Sentence completion 一部が空欄になっている文章を完成させることで特定ブランド等のイメージを探る。例えば、以下の通り。
Macy's is ....
People who shop at Macy's are ...
I don't understand why Macy's doesn't ... (この例は明らかにメーシーズに関する不満を聞きだそうとしている)
Cartoon test 漫画の一こまを与え、その情景から感じたことを話してもらう。
Drawings ある特定商品について感じることを絵で描いてもらい、補足説明のコメントを書いてもらう。
Photo sorts 100枚程度の様々な年齢、職業、人種、性別の顔写真を与え、特定商品の購買者と思われるカードを5枚選ばせる。
この中で面白かったのが、Drawingsの例。あるメーカーがゴキブリホイホイの広告宣伝について検討するために、ライバル商品である殺虫剤スプレーについてDrawingsを実施しました。主な顧客である主婦100人に殺虫剤スプレーについて感じることを絵とコメントで表現してもらったところ、次のことが判明。
・みなゴキブリが大嫌い(当然)
・100人中、100人がゴキブリを男性として表現していた。(例.it would be better to confront him before he takes control and "invites a companion".)
・ゴキブリと対峙して戦う、こちらから何とかしてやっつける、といった好戦的な回答が多かった。
そこで、こうした結果をもとに以下のような考察を試みるのです。
・ゴキブリは概して貧しい家庭に多い。
・貧しい家庭では女性が男性から抑圧されているケースが多い。
・そういう女性は無力感を持っていることが多く、controlとかpowerというものに飢えている。
・殺虫スプレーは自分の力でゴキブリを退治できるチャンスを与えてくれるが、ゴキブリホイホイは罠にはまってくれるのをただ待つという受身的なソリューションである。
・では、どうやってゴキブリホイホイを消費者に訴求していくべきか?
・・・一般消費者が無意識に商品を選択しているつもりでも、その裏ではマーケッターが想像もつかない様々な方法で消費者の深層心理を分析し、商品開発や広告宣伝に活用している、ということの一面を垣間見ました。