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DeNA創業者の南場智子さんによる「不格好経営」、副題に"leading a bumpy journey"とあるとおり、南場さんの生い立ちからマッキンゼー時代、そしてDeNAの起業から現在に至るまで、まあ本当に色々なことが積み重なって一筋縄ではいかない物語(実話)なのですが、とにかく面白くて一気に読了。 「もしかして、あなたバカですか?」、「うどんが飛んだ日」、「激やせラリー」等、目次を見ていると何のエッセーなのかわからない感じですが、そんなエピソードを交えながらも、ただ面白いだけではなくて一線の経営者が綴った経営に関する本として示唆に富んでいます。 中でも、この本ならではというか、南場さんならではのユニークな価値観として今の僕に響いたのが、「unlearning」、「チーム」、「拾い物」という3つのキーワード。 1.Unlearning アンラーニングとはいちど学習によって身につけたスキルや考え方、習慣を意識的に忘れてリセットすること。南場さんにとってのアンラーニングとは、マッキンゼー時代に染み込んだ「コンサルタント」としての立ち居振る舞いの中で経営者としてはむしろ不要(ない方がいい)なものをゼロクリアするという作業を指します。 世の中では、1つのキャリアプランとして「経営コンサルタントで経営スキルを磨いた後に起業」というストーリーが良く語られますが、南場さんは、「コンサルタントは言う人、手伝う人であり、事業リーダーはやる人だから、立場も求められる資質も極端に異なる」、「もし将来起業することを知っていたら、コンサルティング会社ではなく、事業会社で修業したかった」とまで言い切っています。 p.16 世の中のほぼすべての人が知っている「言うのとやるのでは大違い」というのを、年収数千万円のコンサルタントだけがうっかりするというのは、もはや滑稽といえる。しかもコンサルティングで身につけたスキルや癖は、事業リーダーとしては役に立たないどころか邪魔になることが多い。今でも苦しみながら「unlearning(学習消去)」を続ける毎日だ。 幾つか挙げられているアンラーニングの例の中で、意志決定について語られているところが膝ポンでした。 p.198 意思決定については、緊急でない事案も含め、「継続討議」にしないということが極めて重要だ。コンサルタントから経営者になり、一番苦労した点でもあった。 僕は自分がやるべきと考えるプランを描き、必要な情報収集によりファクトとロジックでそれを補強して経営者に提示するのが今、求められている立場。最終決定はあくまで経営者の仕事であり、自分では決められません。一方で、その分野については社内の誰よりも世界中を巡り、多くの人と会話し、情報を収集して、深く考えてきたという自負とオーナーシップは持っています。 しかし、あるレベルまで調査・分析・思考を重ねていくと、労力の割に気づきが少なくなってくるポイントがあり、そうなるとあとは決断して一歩踏み出すしかない、という状況に至ります。 裏返すと、そこまではある意味、誰でもできる領域であり、そこから先はリスクを取って踏み込んだ者にしか見えない世界。あとはタイミングです。早すぎても遅すぎてもダメ。でも、いざやってみて「時期尚早」だとわかれば、それも1つの成果であり、傷が浅いうちにいったん戦略仮説を見直せば良い。 ただ、どんな事業でも新規企画は「やってみないとわからない」訳で、必要以上に決断を先延ばしにして大きなチャンスを逃してしまう逸失利益は大きい。そこを見誤らないよう、経営者にどこまで迫れるか。最後は経営者に「お前がそこまで言うならやってみよう」と言わせられるかの勝負です。 南場さんのチームは、その時々で敏感に世の中のニーズの流れを見極めて、ネットオークション、モバイルへのシフト、ソーシャルゲームといった新しい事業領域を見出しながら柔軟に事業内容を変化させて成長してきました。いわば社内ベンチャー的に新規ビジネス企画を立ち上げ、筋の良いものを見極めてリソースを徹底投入して育て上げるスタイル。その要諦が語られているのがこの言葉です。 p.101 時代の波(この場合パケット定額制の普及による波)をとらえ、タイミングに合ったものを一番使いやすい形で出す。これを実現してナンバーワンになった者だけが、拡大の良循環を手にする。モバオクの成功は、このシンプルだが力強い真理を我々にすり込んだ。 当たり前のようですが、これをどこまで徹底できるかが勝負の分かれ道。限られたリソースをどこにどう配分するか。そして、「一番使いやすい形」というユーザー目線をどこまで貫けるか。サービス提供者側に回った途端に、ユーザーの気持ちから離れて提供者側の論理で考えてしまいがちなところを、あくまで利用者の立場で客観的に自らのサービス内容を吟味する目。 社内SNSを立ち上げたときを振り返ったとき、あくまで利用者目線で自分たちが「あったらいいな」というものを作る、という姿勢だけは企画当初から今までずっと貫いてきました。この時は自分もひとりのユーザーとして参加できたのが良かったのですが、B to Bビジネスであってもその先でサービスを使うのは結局、一人の人間です。そのことにしっかり想いを馳せて、利用者の立場で設計することを忘れないようにしたいです。 2.チーム 33歳の若さでマッキンゼーでパートナー、36歳のときにソネット社長にインターネットオークション立ち上げを勧めた際に「そんなに熱っぽく語るなら、自分でやったらどうだ」と言われた一言で「「!」が頭のなかで音を立てて鳴り、その瞬間、熱病にかかった」という南場さん。 その彼女が、起業時に声をかけたのが、当時マッキンゼーで入社3年目と2年目の社員ふたりでした。「このふたりを選んだ時点で、DeNAはたとえ時間がかかっても良い会社に育ってゆく運命を半分手中に収められたと思う」と彼女は語っています。 企業内で新規プロジェクトを立ち上げようとする際に、自分でメンバーを選べることはまずありません。でも、少しでも自分たちの目指すところを共有できる仲間と一緒にやっていきたい。特に新しい企画の場合は、成功など何も約束されていません。 大企業になるほど、幾らでも安定した事業はあるので、あえてそこから離れて、よくわからない事業に関わるというモチベーションは湧きにくいもの。そんな中で、縁あって同じチームになった仲間たちとどうやってベクトルを合わせて一緒に新しいものを作り上げていくかが今の僕の大きなテーマです。 p.64 あのときあのまま辞めていたら、もしかしたらどこへ行っても「ここでもダメなんじゃないか」とすぐに諦めてしまい、次から次へと転職を繰り返すジョブ・ホッパー(job hopper)になっていたかもしれない。本当に、紙一重なんだなぁと思う。(中略)同様に、今仕事がうまくいっていない社員がいたとしても、カチッと何かが符合すれば、見違えるように伸び伸び活躍しはじめる可能性があるわけだ。はじめからデキるスーパースターばかりに頼るのではなく、人の力を信じて引き出せる会社にしていきたいと思うのは、このときの経験からだ。辞める覚悟で臨んだ「最後の」プロジェクトがこうしてうまくいき、結局私はその後、約9年間、マッキンゼーに残ることになる。 起業前は「自分がいないマッキンゼーなんてつまらないと思うくらいマッキンゼーライフを謳歌していた」という南場さんも、当初はうまく馴染めずに悩み、転職寸前だったと言います。一方で、他のプロジェクトではうまくはまらずにパッとしなかった人が新しいプロジェクトに移ったことで新たな才能が見出されて輝き始める例を僕は幾つも見てきました。 何よりも僕自身が自分の良さが活きないプロジェクトで悶々として転職の一歩手前まで行ったこともあったので、人が仕事で力を発揮できるかどうかの「紙一重」な感覚は身に染みてわかっています。 チームメンバーのそれぞれの仕事に対する想いやスキルを見極めて、少しでもその人が自然に輝けるような仕事を見出して任せてみる。たまに、ある仕事を任せたときに、僕がビックリするほどに踏ん張って、壁を乗り越えて、グンと成長する仲間がいます。そんな姿に触れることができたときが、仕事をしていて嬉しいと思える瞬間の1つです。 p.217 たとえば新規事業が行き詰っているとき、誰々に会って話を聞いたらどうか、xxという他国のサービスを使い込んでみたらどうか、などというアクションに関するアドバイスをすると、必ず素直に、徹底的にやる。ところが、ターゲットユーザー層をずらしたほうがよいのではとか、機能を思い切って半分に減らしてみたらなど、結論に関するアドバイスをしても心底納得するのに時間がかかる。いろいろ試したがやっぱり賛成できない、よく考えた結果、やっぱり自分はこう思う、と言ってくることもある。労を惜しまずコトにあたる、他人の助言には、オープンに耳を傾ける、しかし人におもねらずに、自分の仕事に対するオーナーシップと思考の独立性を自然に持ち合わせている、ということではないかと思う。 この素直さと頑固さのバランス具合が仕事をするうえで非常に重要な要素だと思います。特に若いうちは自分なりの考えや経験がまだ浅いので、上司の言う通りに動いてしまいがちで、また経験を積むほどに過去の成功体験に縛られて新しいことに挑戦するガッツが失われがち。 周りの人の助言を素直に聞く耳、良いと思ったら例え新人のアイディアでもまずやってみる柔軟性、でも例え社長の言ったことでも自分の考えと違う時には明確にその違和感を言い切れる強さ。このあたりのバランス感覚は今後もずっと意識して心掛けたいと思っています。 p.46 同じ目標に向かって全力を尽くし、達成したときのこの喜びと高揚感をDeNAの経営の中枢に据えよう。互いに切磋琢磨し、ときに激しく競争しても、チームのゴールを達成したときの喜びが全員に共有され、その力強い高揚感でシンプルにドライブされていく組織をつくろう。そう決めた瞬間だった。(1999.11 ビッダーズのサービス開始) 組織のインセンティブ設計は企業経営の本質的なテーマの1つですが、南場さんの語る「ゴール達成の喜びの共有」と「力強い高揚感」でシンプルにドライブされる組織を作ることができたら最強だろうなと思います。そのためには、まずチームのメンバーで「何を目指すのか」というゴールとそれを達成するための行動指針、ビジョンを共有することが不可欠。こうしたゴールやビジョンはわかりやすく明文化し、繰り返し皆で確認することで腹に落とし込んでいくことが大事です。 そのうえで、新しいことを掲げて、皆のベクトルを同じ方向に向かせていくとき、リーダー自身も内心は「やってみないとわからない」感覚の方が大きいものですが、リーダーは迷いを見せるべきではない。ここは難しいところですが、人前に立つときには意識的にそのように自分を自分で追い込んでいくことが重要なんだと思います。 まずは自分が納得できるまで考え抜く。そのうえで、腹を決めたら爽やかに言い切って、やり切る。いざやり始めると、想定外の出来事の連続ですが、新たにわかったことベースで仮説を微修正しながら、更にもう一歩を踏み出す。この連続の先にのみ、ゴールはあるのだと思っています。 p.245 国内外にかかわらず、あと10年もすれば、組織に属して仕事をするスタイルは主流ではなくなるだろう。目的単位でプロジェクトチームが組成され、また解散するような仕事の仕方に変わっていくはずだ。 この感覚は日々仕事をしていて痛感します。インターネットの普及により、ソーシャルメディアで世界中の人々が1対1で繋がりはじめ、更にクラウドソーシングのような個人が組織と対等に仕事ができる環境が急速に整いつつあります。 硬直的な企業内の組織に囚われず、自分ならではのユニークなスキルを磨いて、組織の壁をひらりと乗り越えて新しい機会を見つけて挑戦する。その繰り返しで個人のスキルもますます高まり、企業全体の競争力も上がっていく。どうやったら、そんな仕事のやり方ができるのか、いつも思考の片隅にそんなことを置きながら生きています。 3.拾い物 南場さんの生き方で一番共感できたのが「拾い物」という発想。 p.5 私は、苦しいときにふたつのことを意識する。ひとつは、とんでもない苦境ほど、素晴らしい立ち直り方を魅せる格好のステージだと思って張り切ることにしている。そしてもうひとつは、必ず後から振り返って、あれがあってよかったね、と言える大きなプラスアルファの拾い物をしようと考える。うまくいかないということは、負けず嫌いの私には耐えがたく、単に乗り越えるだけでは気持ちが収まらない。おつりが欲しい、そういうことだ。 辛いこと、悲しいことがあったとき、ただただ苦しいだけではなく、それでも何か得られるものがあるはず。そう思うことで、少しは救われます。一度きりの限りある人生、後悔だけはしないよう精一杯やれるだけのことはやってみよう。 目の前の些細な出来事にあくせくしている自分に気づいたときは、一歩離れて深呼吸して、目に見えない大きな流れに身を任せる時間も大切。そして、静かに自分と向き合う時間をつくること。
「もしかして、あなたバカですか?」、「うどんが飛んだ日」、「激やせラリー」等、物語として読むだけでも十分に面白いストーリーですが、仕事のやり方や生き方についても自分を振り返る良い気づきを与えてくれる一冊です。
by takekurakenya
| 2013-07-15 23:39
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