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岡田斗司夫さんと内田樹さんの対談を本にした「評価と贈与の経済学」、面白かった!今まで何となく感じていた資本主義の限界について切り込みつつ、その先の目指すべき姿として「情けは人のためならず」をベースとした評価経済、贈与経済という発想が展開されます。 内田さんのファンである岡田さんがユニークな持論を展開しつつ、内田さんが面白がりながら深めていく、という構図が心地よく、取り扱っているテーマの難しさを感じさせないほどに読みやすくわかりやすい本になっています。 1.今の日本の閉塞感の根っこにあるもの こうした客観的に数値化可能なモノサシで何でも評価することは誰でも簡単にできる一方、人間が本来持っている感情や情熱、親切心、道徳といった人として大切にするべき価値は数値化しづらいため、そのギャップが今の時代に生きる人々の大きなストレスの源になっているように思います。 科学技術の進歩により人々の暮らしはより便利になってきた一方で、失いつつあるものの代償も大きいという感覚。「文明的なものと文化的なもの」を意識して分けて考えること、それぞれの良さを理解しながらいかにして両者を共存していけるかを追求していくことがこれからの僕らにとって重要な問いだと思っています。 p.221 いまはテレビのせいだと思うけれど、どんなイシューについても「一分以内でコメントしてください」というような要請に即座に応答しないと、誰も相手にしてくれないでしょう。相手をしずかに見つめて、相手から発信されてくる微かなシグナルに注意深く耳を傾けるというのが敬意の作法なんだけれど、そういう構えが現代社会ではもう許されない。 今の資本主義経済/貨幣経済は、総量が決まっている富の奪い合いのゼロサムゲームになっており、この枠組みの中だけで生きていこうとすると外形的/数値的な評価軸に自分を当てはめて他人と比較することでしか幸せを実感できなくなってしまうところに大きな問題があります。 尾崎が歌うように「僕が僕であるために勝ち続けなきゃならない」世の中は辛い。その結果、どこかで「努力してもムダ」という個人的な諦めにつながり、社会全体で見るとより活力が失われてギスギスしていくという悪循環があるように感じます。 2.努力は報われる そこで、僕らが幸せになるための第一歩が、「努力は報われるという価値観を信じること」だと二人は言います。ここで重要なポイントは、努力したこととその報酬の関係性を正しく理解すること。 p.55 「努力したら、最終的には報酬がある」ということは言ってもいいと思う。でも、どんな報酬がいつもらえるのかは事前には予測できない。ある種の努力をしているうちに、思いもかけないところから、思いもかけないかたちで「ごほうび」が来る。それはまさに「思いもかけないもの」であって、努力の量に相関するわけじゃない。(中略) この考え方は、例えばスティーブ・ジョブスの"connecting the dots looking backwards"というメッセージにも通じるものがあります。そして、もう1つ重要なことは、実は「努力したときに既に報われてる」という側面。 p.60 努力してるときに、ほんとうはすでに「見返り」は得てるんだよね。努力の報酬って、あとからお金で来るものだけじゃない。(中略)実はいろんなかたちで、ぼくたちは報酬をけっこう前払いで受け取ってるんだと思う。(中略)だいたい、努力できる人って「いまオレはすごく努力している」という自尊感情を持った段階で、もうすでにかなりいい気分になっている。(中略)自分で「こんないいことしてるオレって、ほんとにいいやつだな」って思えれば、それだけで生命力って向上するんです。医学的な統計を取ればわかると思うけど、道ばたのゴミ拾ったり、電車で妊婦に席譲ったりしたあと、計測したら臓器の機能とか上がっていると思いますよ。いいことって、した時点ですでに報酬を得ているんですよ。 たまたま先日に読んだ本『経済は「競争」では反映しない』(ポール・J・ザック:ロマリンダ大学医療センター臨床神経経済学教授)によると、利他的な行動は生物学的なレベルで人間の本能に根差しており、人間社会では利他的な行動をとる人は利己的な行動をとる人よりも生き残る確率が高いように設計されているそうです。 更に言うと、僕らが今こうして暮らしていられること自体、過去に多くの日本人が積み上げてきてくれた歴史がある訳で、また極めて個人的と思われるような成功ひとつとっても実際には沢山の人々に支えられて初めて実現できたものである、という気づきが非常に大切だと思います。 p.95 自分がそこそこ努力して、ある程度の社会的成功を収めて、そこそこ自由に使える資源が手に入ったっていうのは、もともとが自分の力じゃないわけですよ。子どものときには親の世話になったし、友達とか、上司とか、同僚とか、師匠とか、いろんな人の支えがあったからこそ今日の自分があるわけで。だったら、恩には恩を以てお返しをしなければことの筋目が通らない。 3.パスを出す人になる だとすると、僕らがやるべきことは「抱え込まずにパスを出す人になる」ということ。 p.149 時間を止めて、社会を輪切りにして見ると、「資源を持っている人間」と「持っていない人間」の間に量的な格差があるように見えるけど、経時変化を動画で流して見れば、「資源を持ってる人」がパスの流れのなかにいて、すごい勢いでパスを通していて、「資源を持たない人」は最初に来たパスをそのまま抱き込んで、それを次の人に出さないので、そこで流れが切れてしまっていることが一望できるはずなんです。 「言われたことをやる」のは当たり前で、そこからは何も生まれない。相手の期待をひとつ上回る仕事をすること、ちょっとした親切で引き受けること、抱え込まずにオープンにシェアしていくこと、こうした姿勢があるかないかで、その瞬間では一見すると何も変わらないようですが、これを日々積み重ねていくことで確実に「信頼貯金」が貯まっていきます。 例えば、先日のスーパープレゼンテーション聖光。たまたま同校OBの栗原君が僕に声をかけてくれたのは「きっと何かやってくれるのでは」という彼の僕に対する期待があったから。そして僕も「面白そう!」と思って、信頼できる後輩の佐藤君や石川さんに声をかけたところ、彼らも二つ返事で協力を申し出てくれました。 お互いに仕事を一緒にしたことすらなくても、日々のちょっとしたやりとりの中で培った信頼感だけをベースに企画を推進していきました。そして、もう1つ大事なことは、「若者へパスを出す」という心がけです。 p.162 先行する世代には若い人たちにできる限りパスを回す義務があると思う。もっとおせっかいに、もっと親切にしてあげないとだめなんじゃないかな。一度でもパスをもらわないと、「パスするゲーム」がどんなものだかわからないもの。 今回、聖光学院の中高生に対しては、前途ある若者に対して僕ら社会人が何か役に立てることがあるはず、という想いを持って接してきました。終電近くまで仕事をしていた夜でも彼らからメールが来ればなるべくすぐに返事をしたり、週末でもちょっと心配なことがあれば電話でアドバイスをしてあげたり。 その時は正直に言ってほとんど見返りなど何も期待できない状況でしたが、終わってみれば僕ら企業側のメンバーにとって非常に得難い素敵な経験をさせてもらうことができた訳で、与えたものは何倍にもなって帰ってきたというのが実感です。 それでは、いつパスを出せば良いのでしょうか?実は、パスを出すのに必要な資格や条件など何もありません。誰でも、その気になればパスが出せます。いつまでも貨幣経済のパラダイムに縛られてもがき続けるのか、あるいは「努力は報われる」、「情けは人のためならず」という評価経済、贈与経済の世界に足を一歩踏み入れてみるか。決めるのはあなたです。 p.164 個人資産が百億ドルあっても、「まだ足りない。贈与なんかしている余裕はない」と思っている人間だっていますし、「自分は貧しいけれど、もっと困っている人もいるから、その人になにかしてあげよう」と思う人もいる。だから、客観的条件じゃなくて、主観的な決断の問題になんです。 贈与のロジックが等価交換モデルである貨幣経済と根本的に異なっているのが、親切の総量は減らないどころか無限に増大していく、という事実です。この点に関して、ハーバード大学で博士号を取得したTal Ben-Shaharさんは「日頃から親切な行動を心掛けていれば、その報酬として、幸せという「究極の通貨」をつねに得ることができます。幸福は尽きることのない無限の資源です。」(「ハーバードの人生を変える授業」)と表現しています。 お金は誰かにあげたら自分は失いますが、「ありがとう」の気持ちは誰かに伝えたときに言った本人も言われた相手も幸せな気持ちになれるから、サンキューポイントは誰でもいつでも誰にでも送ることができるのです。 4.夫婦と家族のあるべき関係性 贈与経済的な考え方は、社会全体のシステムだけでなく、企業や学校、家族といった様々な個別のコミュニティにも当てはめて考えることができます。夫婦という最小単位について見てみると、似たもの同士ではなく相互補完的な関係の方がうまくいくと説きます。 p.231 夫婦は非対称的な関係にあったほうがいいと思いますね。自分ができることが相手にはできず、相手が得意なことが自分は苦手というのがバランスいいんです。「自分のことは自分でやる。自分の分は自分で稼ぐし、家賃も半分払う。家事も半分ずつ。だからいっさい貸し借りなしね」というような人は結婚する意味がない。それじゃ運動がはじまらない。 僕の感覚としては、誰でもできるけど続けるにはそれなりの努力も必要、という感じでしょうか。もともと生まれも育ちも異なる二人があえて一緒に暮らそうというのなら、相手に近づこうという努力はお互いに欠かせないと思います。また、家族の中でお父さんがなぜ偉いのかという問いに対してはこんなユニークな発想も。 p.231 いつでも非対称で、配偶者の一方が他方に対して「借りがある」という感じを抱いているのがいいんです。家族の誰かが誰かに対してつねに「債務過剰」になっていることが必要なんです。そうじゃないと、家庭のなかに贈与と反対給付の運動が起きない。まず、誰かが最初の贈与を行う。お母さんが子供に「お父さんは偉いんですよ」って言うのは、「お父さんがこの家で最初の贈与を行った人である」というフィクションを語っているんですよ。(中略)誰かが「親」にならないとゲームがはじまらないでしょう。実際の個人が偉いという話じゃないんです。偉いわけないじゃないですか。 5.これから日本が目指す姿 最後に、今の先進国が緩やかに没落していき、新興国が急速に存在感を増していく中で、これからの日本は世界でどんな立ち位置を目指していくべきかについて。 p.210 まず環境がいいでしょう。森林面積が国土の68%もあって、水資源も豊かにある。山紫水明で、食べ物も美味しい。ホスピタリティの質は世界一だし、エンターテイメントも多種多様。あと、医療と教育さえ整っていれば、世界最高レベルの付加価値国家になれると思う。世界中どこでも小金がたまった人たちは「のんびりしたいね、日本にでも行くか」という時代が来ると思う。 IT×金融で世界を舞台にどう貢献していこうかということを日々考えている僕ですが、この方向感にはとても共感できます。世界の国々を見て回れば回るほど、いかに日本が魅力的な要素をたくさん備えているかが身に沁みます。もっと世界中の人たちに日本の魅力をオープンに伝えていき、日本に遊びに来てもらう努力をするべきだと思います。 いちど日本に来て、その文化や食、人々に触れればきっと日本のファンになるはず。そして単なる旅行だけではなく、世界の富裕層がいつかは日本に住みたいと思うような施策を打ち、彼らにしっかり日本で消費して税金を納めてもらうことで新たな雇用や税収を生み出すという側面も考えたいものです。
たまたまこのブログでとりあげた箇所は全て内田さんのパートでしたが、岡田さんもとってもユニークな発想で色々と内田さんを刺激しています。岡田さんのツッコミがあってこそ、内田さんも触発されて議論が深まったり広がったりして読者を飽きさせないこの本、ぜひ皆さんにも読んで欲しい1冊です。
by takekurakenya
| 2014-02-08 21:29
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