Mgt.267 住む地域に紐付いたプロファイリング

今日の1 to 1 Marketingで面白かったのは、PRIZMと呼ばれるデータベースの話。PRIZMとは、Claritas社が1974年から構築しているデータベースの名前で、"People with similar lifestyles tend to live near each other."という仮定のもとに全米の人口を62のセグメントに分類し、地域別に割り当てたもの。

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日本と比べると、アメリカは特に居住地域によって貧富の差や治安レベルが激しく異なっている社会です。例えば、7th streetから南のエリアは治安が悪いとか、あのエリアにはリタイアしたお金持ちが多く住んでいる等といった具合。

また、公立学校でも寄付が運営資金の大きなウェイトを占めているため、お金持ちが多く住むエリアでは寄付額が多く、高いレベルの教育が受けられる一方で、貧しい地区では寄付がない代わりにコカコーラの自販機を置くことで企業から販促金をもらって何とか運営しているという話もよく聞きます。

この結果、住む地域による貧富の差はますます拡大・固定化していきます。いわゆる"Birds of a feather flock together."というやつですね。こうした事実に基づいて作成されているのがPRIZMです。

PRIZMではアメリカに住む人々を収入・家族構成・年齢・学歴・職業・居住形態・人種等のパラメタで62のセグメントに分類し、それぞれにキャッチーなネーミングをつけています。

更に興味深いのは、このデータベースが一般に公開されていること。My Best SegmentsというwebサイトでZIP Code Look-Upをクリックすると、Zip Code（郵便番号）を入力するだけでその地域に住むセグメントを最大５つまで表示してくれます。

例えば、UCLAのすぐ南側には、田園調布を10倍くらい高級にした、Bell Airと呼ばれる超高級住宅地が広がっています。ここのZIPコード(90077)をこのサイトで入力すると、セグメントNo.1のBlue Blood Estatesという層で占められていることがわかります。このBlue Blood Estatesをクリックすると、以下のような当該セグメントの特徴の記述＆イラストが見れます。その細かさと具体的な描写には驚きますね。

Blue Blood Estates
Established executives, professionals, and "old money" heirs that live in America's wealthiest suburbs. They are accustomed to privilege and live luxuriously - one-tenth of this group's members are multimillionaires. The next affluence level is a sharp drop from this pinnacle.

2003 Statistics:
US Households: 1,314,100 (1.2%)
Median HH Income: $147,148

Lifestyle Traits
Plays tennis frequently
Own an Audi/BMW/Mercedes purchased new
Listen to all news radio
Watch Sunday morning news programs
Read The New York Times

Demographics Traits:
Ethnic Diversity:Predominantly White, High Asian
Family Types:Married Couples with or without Children
Age Ranges:45-54, 55-64
Education Levels:College Graduate
Employment Levels:Professional
Housing Types:Owner of Single Unit
Urbanicity:Suburban
Income:Elite

こうした情報は例えば企業がダイレクトメールを発送する際に有効活用されています。仮に名前と住所のリストしか持っていなかったとしても、その膨大なリストの中から自社製品を最も購入しそうな層が多く住むエリアを選んでDMを発送することでより高いレスポンス率が期待できる訳です。また、各セグメント毎に良く見る雑誌やTV番組といった情報もあるので、特定のセグメントに焦点を絞った広告を打つことでより効果的なマーケティングができるようになります。

1970年代からこんなデータベースがあって、しかも広く活用されているとは、さすがマーケティング先進国ですね。ただ、日本で同様な発想でデータベースを作っても、そもそもアメリカほど顕著なセグメントの差異が見られないでしょうし、地域による違いもあまりなさそうなので恐らくうまくいかないでしょう。