今日、アンダーソンにあの
Jack Welch(元GE会長兼CEO)が来ました。今回のイベントはアンダーソンの学生、卒業生、教員・スタッフに限定されていましたが、先着順で配布されたチケットは瞬く間に終わってしまったようです。僕はたまたま図書館で勉強していたときに本イベントの告知メールを読んだので、すかさず指定のwebサイトで申し込んでおいたのでした。夜に自宅でメールを読んで慌てて申し込んだ友人はウェイトリストだったとか。
数百人収容のKorn Hallがあっという間に満席に。僕は少し早めに会場入りして前から数列目をゲット。
司会者が「アメリカでNo.11、また南カリフォルニアではNo.1のビジネススクールにジャック・ウェルチが来てくれました」というUSCへの対抗意識剥き出しのトークで切り出し、壇上に我がアンダーソンのDeanであるBruce Willison(UCLAでBA、USCでMBA取得)とともにジャック・ウェルチが現れると、今までに聞いたことのないほどの大きな拍手が会場を包みました。
すかさず、ジャックは第一声で「南カリフォルニアNo.1のビジネススクールに来ることができて嬉しいです。明日、USCに行っても同じことを言うと思うけど」と
お約束のボケで掴みはOK。
壇上ではDeanが幾つかの質問をJackに投げかけて、それに対してJackが答えるというスタイルで20分ほど対談の後、残りの時間は会場からの質問にJackが答えました。70歳とは思えないほど堂々と自信たっぷりに、時にジョークを交えながらの話ぶりはさすが20世紀における最も優れた経営者として評価されている人だなという印象。
また話が白熱してくると質問者に対して前のめりになって、しわがれ声で熱く語る言葉の端々から、「最後までやり遂げる実行力」、「事業へのパッション」、「正しい人選」への強いこだわりを感じました。
印象的だったのは若いビジネスリーダーに対するアドバイスの一つとして「上司が部下に何かを尋ねる際はたいていは自分の考えが正しいことを確認したいだけ。上司に回答する際は単純に質問に答えるだけではなく、必ず自分なりにプラスアルファの付加価値をつけて回答するように心がけよう」というメッセージ。これは、僕が日頃意識してやってきたことだったので共感できました。
また、GEという大組織の中で頭角を現してCEOにまで上り詰めた彼の「会社の中で最も苦労している分野、これから頑張っていかなければならない分野で活躍することが大きな成長につながる」というメッセージは、ちょうど帰国後の配属先について思いをめぐらせている僕としては一つのヒントをもらった気がしました。
大ホールでの対談のあとはダイニングルームに場所を移して新著
"Winning"の即売・サイン会(売上は全額寄付されるそうです)。思い返せば、MBA留学を夢見ていた頃、
日経新聞の「私の履歴書」で30回に亘ってジャック・ウェルチが寄稿していたのを読んでその「ガッツ」に感動し、そのベースとなった前著
"Jack: Straight from the Gut"(邦題:わが経営)の原書をアマゾンで購入して英語の勉強を兼ねて読んだものです。まさか3年後にそのジャック・ウェルチと握手し言葉を交わせるとは夢にも思いませんでした。
前著では初妻と結婚29年目にして離婚した後、17歳年下のジェーンさんと結婚したエピソードがラブラブな写真とともに紹介されていましたが、新著の共著者である奥様は3人目になる20歳以上年下のスージーさん(元ハーバードビジネスレビュー編集長)でした。ジャックは終始にこやかに彼女と仲良く並んでサインしてくれました。
権力・お金・名声を全て手中に収めた20世紀における最も優れた経営者は良き家庭人にはなれなかったようです。僕の中で
「仕事と家庭とのバランス」は永遠のテーマです。