
色々な研究を紹介しながら「やり抜く力」GRITの重要性について論じていますが、詰まるところ筆者の主張は「何かを成し遂げるためには才能も重要だけど、もっと重要なのは粘り強くやり抜く力」だということ。
p.78 努力をしなければ、たとえ才能があっても宝の持ち腐れ。努力をしなければ、もっと上達するはずのスキルもそこで頭打ち。努力によって初めて才能はスキルになり、努力によってスキルが生かされ、さまざまなものを生み出すことができる。
p.112 偉人たちと一般の人々の決定的な相違点は、つぎの4つにまとめられる。(中略)コックスは4つの指標を「動機の持続性」と名付けた。(中略)
総括として、コックスはつぎのように結論を述べている。
「知能のレベルは最高ではなくても、最大限の粘り強さを発揮して努力する人は、知能のレベルが最高に高くてもあまり粘り強く努力しない人より、はるかに偉大な功績を収める」
更に、筆者は幾つかの研究結果から「粘り強くやり抜く力は訓練で身につけられる」と論じます。逆に言うと、そうした訓練をしないと人間はつい楽な方へ流れてしまいがち、ということ。
p.323 アイゼンバーガーは「勤勉さは練習によって身につけることができる」と結論を下した。
そして、セリグマンとマイヤーによる「学習性無力感」(回避できないストレスを繰り返し与えられた動物は、なにをやっても無駄だと思い、逃げる努力すら行わなくなる)の研究に敬意を表し、アイゼンバーガーはこの現象を「学習性勤勉性」と名付けた。
この研究の重要な結論は、「努力と報酬の関連性は学習することができる」ということだ。どうやらラットも人間も含めて動物は、体験をとおして「努力と報酬の関係性」を学ばない限り、放っておくと怠けてしまうようにできているらしい。
ただ、何でもかんでもやみ雲にひたすら努力し続ければよいかというとそうではありません。量よりも質が重要。
p.169 エリクソンの研究によるもっとも重要な洞察は、エキスパートたちの練習時間が並外れて多いことではない。(中略)ふつうの人々とちがって、エキスパートたちは、ただ何千時間もの練習を積み重ねているだけではなく、エリクソンのいう「意図的な練習」(deliberate practice)を行っている。
では具体的にどんな努力を積み上げていけばよいのかという点になると、残念ながら本書ではあまり触れられておらず消化不良になってしまいます。成果に結びつく「いい努力」と、逆に自己満足で終わってしまう「悪い努力」については、
その名もずばり「いい努力」という本で詳細に紹介されていますのでセットで読むと理解が深まります。
また、本書では人生を賭けてでも取り組みたいと思えるようなテーマを見つけられた人の事例が大半ですが、多くの人はそこまで極めたいと思えるような人生のテーマ、天職に巡り合えていないというジレンマもあります。
興味が持てない仕事、適性がない仕事を「石の上にも3年」と無理して取り組むのは時間の無駄でしょう。ここの見極めも肝心です。
成果を出した人について「あの人は天才だから」と断じて才能の違いのせいにすることは、成果の出ない自分を簡単に正当化できるので楽です。
でも実は才能だけでは成果は出ない、成果を出している人は見えない努力を積み上げているということが本書を読むと理解できます。